【1級FP監修】家族が亡くなった後、遺族が負担する費用
政府統計によると、年間死亡数は157万5936人で、死因順位の第1位は悪性新生物<腫瘍>(全死亡者に占める割合は24.3%)、第2位は心疾患(高血圧性を除く)(同14.7%)、第3位は老衰(同12.1%)となっています。
家族が亡くなる悲しみと共に、金銭的な負担も発生します。万が一家族の死亡の際、残された遺族が負担するお金の費用を知り、備えることは大切です。
家族の亡くなった後、残された遺族が負担する費用をが把握しましょう。
目次
【結論】一般葬の費用やお墓の費用など、約300万円が必要、生前の家族との話し合いが大切
葬儀費用
葬儀にかかる費用は、一般的に
①斎場、火葬場の利用料、祭壇及び、ひつぎなどの葬儀一式の基本料金
②通夜、告別式の料理などの飲食費用
③参列者の香典返し、お礼の品物の費用
④寺、お坊さんに支払うお布施や葬儀を手伝った方への謝礼金
⑤新聞紙の掲載料、地域柄の慣習に係る費用
合計を紹介します。
〇一般葬
通夜やお葬式・告別式を2日かけて行う一般なお葬式費用140~180万円
〇家族葬
基本的に一般葬と一緒だが、参列者が少ない場合、または、家族、親戚中心のお葬式費用80~110万円
〇直葬・火葬式
お通夜やお葬式を行わなず、火葬だけをするお葬式費用20~45万円
お墓の費用
先祖代々のお墓がある方や、すでに購入された方は、納骨費用や彫刻料、会食費用など数万~30万円以下で済みます。また、お墓が自身やご家族の土地になく、借りている場合はお墓の土地の永代使用料という使用権や管理費用も発生します。多様化するお墓に係る費用を紹介します。
〇一般墓
一般的な石のお墓、デザインや石種、付属品、大きさによって大きく違う、お墓の費用100~330万円
〇納骨堂
首都圏に多く、便利な立地が多い、ロッカータイプや仏壇タイプ、参拝する時に遺骨が自動で移送されるタイプも、納骨堂の費用20~100万円
〇樹木葬
墓石の代わりに樹木を墓標とするタイプ。粉骨した遺骨を容器に入れて、個人ごとに樹木を1本ずつ植えるタイプと、1本のシンボル・ツリーのまわりに複数人の遺骨を埋葬するタイプも、樹木葬の費用15~80万円
〇海洋散骨
粉砕した遺骨を海洋に散骨する、業者が散骨代行するタイプ、遺族が散骨するタイプなど選べる、海洋散骨の費用5~30万円
〇永代供養墓、合葬墓
寺院や霊園管理者が遺骨を預かり、永代に渡って供養をする埋葬方法。最初に費用一式を支払うことが多い。費用は数万円から
遺品整理、住宅の解体費用
亡くなった家族の持ち物が遺族にとって必要ない場合、遺品整理をする必要があります。
遺品の量によって変わり、費用が20~50万円となります。
住宅も残った遺族に相続されますが、不要な場合は住宅売却または、解体・取壊しの選択肢があります。解体・取壊し場合、木造1坪4~7万円、鉄骨1坪6~9万円程度費用が掛かり、解体・取壊しの建造物にアスベストが含まれていた場合、除去工事が必要になります。費用が数十万~数百万円増加しますので確認が必要です。
借金などが多い場合も
亡くなった家族の借金や未払金などマイナスの財産も残った遺族が相続します。特に手続きを行わなければ単純承認として、プラスの財産もマイナスの財産も引き継きます。
マイナスの財産が多い場合には、限定承認や相続放棄を行いましょう。この二つは相続開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所での手続きが必要です。
〇単純承認
相続人(残った遺族)が被相続人(亡くなった家族)のプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことです。特に手続きを行わなければ、そのまま単純承認となります。
〇限定承認
限定承認を行えば、相続財産(亡くなった家族の財産)の範囲内でマイナスの財産を引き継げばよいため、相続人(残った遺族)は残った遺族の住む住宅などの必要な財産を手元に残すことができます。限定承認の場合は、相続人全員で家庭裁判所へ申し立てを行う必要があります。
〇相続放棄
残った家族が被相続人(亡くなった家族)の財産や借金、債務を相続する権利を放棄できます。マイナスの財産が多い場合や引き継ぎたくない場合に引き継ぐことをすべて放棄することができます。限定承認と同様、相続開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所での手続きが必要ですが、放棄するかは相続人(残った遺族)が一人ひとり選択できます。
遺族のために備え、話し合う
その他に負担する費用に、動産・不動産の名義変更時費用、相続税、関連する士業への手数料がありますが、これらの支払いは亡くなった家族の財産の種類、財産評価額で大きく変動します。
そのため、最低限必要な葬儀費用、お墓の費用、そして必要ならば遺品整理、住宅取壊し・解体費用、借金・債務などは、残った遺族に負担にならないように備える必要があります。
残った遺族が金銭的負担と別に、精神的な負担にならないように自分の価値観、家族の意見を尊重し、万が一死亡した時の葬儀方法、お墓の種類、供養の仕方、住宅の残し方、借金などを、今のうちからご家族と話し合う必要があります。
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