【1級FP監修】法人が生命保険を活用するポイント・保障額は?

生命保険の本質とはリスクの変換です。
個人の場合、一家の大黒柱である方が死亡や働けなくなった際、残された家族の生活費や教育資金、住宅資金などに資金不足が発生する可能性があります。その経済的損失に備えるために加入を検討します。

法人の場合、事業の継続・成長の過程で事業保障準備金、福利厚生制度の整備、従業員の退職金や弔慰金の準備、役員の退職金慰労金や弔慰金の準備、事業承継や相続の資金準備などの人的リスクに備えに加入を検討します。

法人の人的リスクに対する生命保険を活用するポイント・保障額を確認しましょう。

【結論】事業保障や福利厚生を考えて、合理的な保険金額を設定することが大切

事業保障資金の考え方と必要保障額

事業保障資金は経営者に万が一あった場合に生じる事業面の経済的損失に相当する必要額を事業保障として準備する資金です。借入金の返済原資確保及び当面の運転資金確保を考慮する必要があります。

事業保障資金は、当座預金や生命保険金で確保することが一般的です。ただし、生命保険金で準備する際、受け取った死亡保険金は益金算入されるために法人税等の実効税率を考慮して死亡保険金を設定する必要があります。

事業保障資金の必要保障額計算式
事業保障資金の必要額÷(1-0.30)
考慮する事業保障資金
①(短期借入金+長期借入金+役員借入金)
or
②(流動性負債と流動性資産を相殺した金額)

③(数か月~の運転資金、販売費や一般管理費等)

経営者は「エースで、4番、コーチも監督も務める」という方が多いです。特に、創業したばかり企業や中小企業の経営者、役員はそうじゃないでしょうか。

経営者の退職金の準備と万が一あった際の死亡退職金の準備ができる方法として、生命保険の利用を検討しましょう。

経営者・役員に万が一があった場合に営業債務の支払いや給与支払いが滞りなく行われば、企業の信頼感も高まり、余裕を持った後継者の選定・育成など今後の事業経営の継続・成長に繋がります。

福利厚生と退職金の資金準備

生産性の向上や社員の採用、離職率の低下など雇用の安定を図ることは経営にとって重要な取り組みです。

そのために退職金・弔慰金の規程を作成して、福利厚生制度を整備することで優秀な人材の確保、生産性の向上、離職率の低下、育児・介護復帰の向上の寄与することができます。

退職金一時金を受取る側の課税は退職所得として分離課税となるため他の所得と合計せず、一般的に所得税・住民税が源泉徴収されて課税関係は終了します。

退職所得は退職金一時金から退職所得控除額を控除した金額の2分の1に相当する金額になります。ただし、役員等の勤続年数が5年以下の者(特定役員等)に2分の1とする措置はありません。

退職所得控除額の速算表

勤続年数20年以下
40万円×勤続年数
(80万円に満たない場合は80万円)
勤続年数20年以上
800万円+70万円×(勤続年数-20年)
※年数の1年未満端数は切り上げ

死亡退職金として、相続人が受け取る死亡退職金はみなし相続財産として「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が適用されます。個人が加入していた死亡保険金の非課税枠と併用して利用することができます。

従業員の退職金の準備と万が一あった際の死亡退職金の準備ができる方法として、生命保険の利用を検討しましょう。

役員の慰労退職金の準備

役員の勇退または死亡の場合には、役員勇退後の生活や遺族の生活を保障するため、役員退職慰労金や弔慰金の資金準備が必要になります。

長年にわたり事業を支えた役員に利益を還流することも重要です。役員の退職金・弔意金も含めて役員退職慰労金規定を作成しましょう。

従業員の退職金と違い「適正な額」などの税務上の取り扱いに細かな決まりがあります。

税務調査など企業が支払う役員退職慰労金で「適正な額」と比べ、高額過ぎると指摘された部分は損金算入に認められない場合があります。

一般的多い 功績倍率方式
退職慰労金=最終報酬月額×役員在任月数×功績倍率【社長3.0、専務2.4、常務2.2、平取締役1.8、監査役1.6】

ただし、会社への貢献度や同業種・同規模の会社における役員退職金の支給状況と比べ、「適正な額」に注意する必要があります。

役員の慰労退職金の準備と万が一あった際の死亡退職金の準備ができる方法として、生命保険の利用を検討しましょう。

弔慰金の準備と税務

福利厚生の弔慰金制度は亡くなった役員・従業員に対する功労や遺族の生活にために支払った弔慰金として、退職金と税務上区別して取り扱われます。

企業は社会通念上相当な金額である限り、支払った事業年度に損金にすることができ、慶弔金を受け取った個人の税は、被相続人の死亡が業務上の死亡であるとき、被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する額が非課税限度額に、被相続人の死亡が業務上の死亡でないとき、被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する額が非課税限度額になり、業務上か業務外で違いがあります。

弔慰金を死亡退職金と別支給するためには、弔慰金の支給規定が必要になります。弔慰金規定を作成するか退職金規定の中に弔慰金としての支給規定を設けましょう。

事業承継・相続資金の準備

後継者への事業承継を検討する場合、自社株の評価や相続税額を試算して、自社株の買い取り(以下金庫株)などを含めて法人として資金を準備する必要があります。

金庫株は株主総会や取締役会の決議で承認を得ることで、株式の消却あるいは再度の放出もできます。後継者は事業承継で取得した自社株を法人に買い取ってもらい、その譲渡代金で相続税を納税します。また、代償分割資金として他の相続人に支払うことも可能です。

また法人が金融機関から借入した場合、経営者が連帯保証人となりますが、経営者のご家族が連帯保証人になることもあります。経営者の死亡により、借入金の早期の債務返済を求めた場合、ご家族が相続放棄や限定承認をしても、連帯保証債務がご家族に残ります。その資金を準備することも必要です。

経営者・役員から法人に借入金や土地を貸付けしている(底地権)がある法人も確認が必要です。経営者・役員が死亡した場合、相続財産に加算されますので、残った遺族の資産となります。死亡保険金を利用して役員借入金返済原資や土地の買取資金の準備をしましょう。

節税ありきではない、賢い生命保険設計

FP実務では法人の生命保険を確認すると、決算対策で保険料を損金と目的とした加入が見受けられます。

決算対策ありきでの加入ではなく本来の目的である事業保障や福利厚生などしっかり考えて加入、また現在加入している個人の保険契約の保障内容とのバランスを考慮して加入することがいいのではないでしょうか。

PrivateFpは数多くのファイナンシャルプランニングの経験から、お客様の必要とする生命保険設計、納得のできる金融資産運用設計を支援します。

税制・法律・制度の取扱いについての記述は、発信時の関係法令等に基づき記載したものです。今後、変更の場合もあります。

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