【1級FP監修】障がいを支援する社会保障とノーマライゼーション
皆さんはノーマライゼーションという言葉を聴いたことがありますか。ノーマライゼーション(normalization)は、「正常化」という意味があり、それまで特別に行われていたもの正常にしていくという考え方です。
障がい者や高齢者を特別視せずに、誰もが地域社会の一員であるといった捉え方をするのがノーマライゼーションです。
社会のあり方そのものを変えることで、誰もが平等に生きがいを見つけ、役割を担っていける社会を作るという発想です。
誰もがその人らしい生き方、生活ができるよう支援を行う社会保障制度を紹介します。
目次
- 1 【結論】申請しないと利用できない!障害年金は時効もあるため、確認必須!
- 2 ◆手帳制度 申請先 市区町村の福祉担当など
- 3 〇身体障害者手帳
- 4 〇療育手帳(愛の手帳)
- 5 〇精神障害者保健福祉手帳
- 6 ◆年金 申請先 加入の年金制度の窓口
- 7 〇障害者基礎年金
- 8 〇障害厚生年金及び障害手当金
- 9 ◆手当 申請先 市区町村の福祉担当など
- 10 〇特別障害給付金
- 11 〇特別児童扶養手当
- 12 〇障害児福祉手当
- 13 〇特別障害者手当
- 14 〇児童扶養手当の期間延長
- 15 〇重度心身障害者介護慰労金
- 16 〇重度心身障害福祉年金
- 17 〇難病患者等見舞金
- 18 〇交通・災害遺児見舞金や交通及び災害遺児等福祉金
- 19 〇自動車事故重度後遺障害者介護料
- 20 ◆貸付 申請先 社会福祉協議会など
- 21 〇生活福祉資金の貸付
- 22 〇交通遺児等貸付
- 23 ◆扶養共済 申請先 市区町村の障害者扶養共済制度担当など
- 24 〇障害者扶養共済制度
- 25 ◆医療 申請先 市区町村の福祉担当など
- 26 〇自立支援医療の給付
- 27 〇難病医療費助成制度
- 28 〇障害者医療費給付(福祉医療支給制度)
- 29 〇ウイルス肝炎医療費給付
- 30 〇小児慢性特定疾病医療費給付
- 31 ◆補装具・日常生活用具 申請先 市区町村の福祉など
- 32 〇補装具の交付・修理
- 33 〇日常生活用具の給付
- 34 ◆税金 申請先 年末調整や確定申告
- 35 〇所得税・住民税の障害者控除
- 36 〇相続税の障害控除
- 37 〇特定障害者に対する贈与税の非課税
- 38 〇心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の非課税
- 39 〇退職所得控除の加算
- 40 〇利子等の非課税
- 41 まずは制度を知ることが大事
【結論】申請しないと利用できない!障害年金は時効もあるため、確認必須!
◆手帳制度 申請先 市区町村の福祉担当など
〇身体障害者手帳
身体障害者手帳は、身体に障害のある方が、様々な福祉施策を利用するために必要な手帳です。なお、身体障害者福祉法による援護以外にも、電車、バス、飛行機(国内線に限る)などの交通機関を割引で利用できます。
自動車税の減免、高速道路の割引や電話・携帯電話料金、NHK受信料の割引、レジャー施設などの割引があります。また、障害者枠での雇用での就労が可能になります。
手帳は、障害の程度によって1級から6級までに区分されます。
〇療育手帳(愛の手帳)
療育手帳は、知的障害のある方が福祉的支援を受けやすくするための手帳です。なお、知的障害者福祉法による援護以外にも、電車、バス、飛行機(国内線に限る)などの交通機関を割引で利用できます。
自動車税の減免、高速道路の割引や電話・携帯電話料金、NHK受信料の割引、レジャー施設などの割引があります。
障害の程度によって、A1・A2・B1・B2に区分されます。
〇精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることを認定する手帳です。自立と社会参加の促進を図るため、様々な支援策が講じられています。有効期限は2年間で、更新することができます。
自動車税の減免、高速道路の割引や電話・携帯電話料金、NHK受信料の割引、レジャー施設などの割引があります。また、障害者枠での雇用での就労が可能になります。
障害の程度によって、1級、2級、3級に区分されます。
◆年金 申請先 加入の年金制度の窓口
〇障害者基礎年金
病気やケガのため、日常生活が著しく制限をうける状態となったときにうけられます。なお、障害基礎年金の対象となる病気やケガには、目、耳、言語、手足の障害はもちろん、内科の病気、精神関係の病気なども含まれます。学生納付特例の期間中でも対象になります。
令和6年度 年金額1,020,000円(1級)年金額816,000円(2級)子ども人数のよって加算があります。
〇障害厚生年金及び障害手当金
厚生年金に加入中に初診日がある病気やケガで、障害等級1級または2級に該当する状態になったときは、障害基礎年金に上乗せして支給されます。また、2級に該当しない軽い程度の障害のときは、3級の障害厚生年金が支給されます。なお、初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金の受給要件よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)が支給されます。
年金額 報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金(1級)報酬比例の年金額+配偶者の加給年金(2級)報酬比例の年金額 最低保証596,300円配偶者の加給年金なし(3級) なお、初診日から5年以内に病気やけがが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残ったときには障害手当金(一時金)が支給されます。
◆手当 申請先 市区町村の福祉担当など
〇特別障害給付金
平成3年3月以前の学生であって、任意加入していなかった期間内に障害の原因となった傷病の初診日があり、現在障害基礎年金1級・2級相当の状態で、障害年金を
受給することができない方(ただし 65 歳に達する日の前日までに当該障害状態に該当した方に限る。)特別障害給付金は障害年金が受給できない人の救済制度となり、福祉的な給付金です。
令和6年度 月額55,350円(障害基礎年金1級相当)月額44,280円(障害基礎年金2級相当)
〇特別児童扶養手当
精神又は身体に障害を有する児童について手当を支給することにより、これらの児童の福祉の増進を図ることを目的にしています。重度もしくは中度の身体障害(内部疾患を含む)又は、精神障害がある 20歳未満の児童を家庭で養育している方に支給されます。
令和6年度 月額55,350(1級)月額36,860円(2級)
身体障害者手帳の等級が1~3級程度、療育手帳の等級が中等度以上、身体または精神に重度の障害、遅延あることが必要とされています。
〇障害児福祉手当
重度障害児に対して、その障害のため必要となる精神的、物質的な特別の負担の軽減の一助として手当を支給することにより、特別障害児の福祉の向上を図ることを目的としています。日常生活において、常時介護を必要とする在宅重度障害児(20 歳未満)に支給されます。令和6年度 月額15,690円
〇特別障害者手当
精神又は身体に著しく重度の障害を有し、日常生活において常時特別の介護を必要とする特別障害者に対して、重度の障害のため必要となる精神的、物質的な特別の負担の軽減の一助として手当を支給することにより、特別障害者の福祉の向上を図ることを目的にしています。
日常生活において、常時特別の介護を必要とする在宅重度障害者(20 歳以上であって障害を重複して有する方)に支給されます。
令和6年度 月額28,840円
〇児童扶養手当の期間延長
児童扶養手当(離婚によるひとり親世帯等、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について手当を支給)の受給者で、支給対象児に障害がある場合は、支給期間を18歳達する最初の3月31日から 20歳未満まで延長することができます。
〇重度心身障害者介護慰労金
65 歳未満の在宅重度障害児者を介護している方に、介護慰労金を支給し、介護者の労をねぎらい福祉の増進を図ります。対象は、障害児福祉手当又は特別障害者手当を受給している方、高齢者介護慰労金の支給を受けていない方などです。
市区町村によって要件、金額、名称が変わります。
〇重度心身障害福祉年金
福祉の増進を図るために、重度の障害児者に重度心身障害福祉年金を支給します。
市区町村によって、要件、金額、名称が変わります。
〇難病患者等見舞金
難病患者見舞金は、難病患者の精神的な負担に対する慰謝と経済的な負担の軽減を目的として支給します。
市区町村によって、要件、金額、名称が変わります。
〇交通・災害遺児見舞金や交通及び災害遺児等福祉金
該当する都道府県に住所を有し、満18歳に達する日以降最初の3月31日までに、交通事故又は災害事故により、父又は母が死亡若しくは重度の障害者となった遺児等に支給されます。
都道府県、市区町村によって、要件、金額、名称が変わります。
〇自動車事故重度後遺障害者介護料
自動車による交通事故が原因で、「脳」、「脊髄」又は「胸腹部臓器」に重度の後遺障害が残り、日常生活において「常時」又は「随時」の介護が必要な方に介護料を支給します。
窓口は独立行政法人 自動車事故対策機構になります。
◆貸付 申請先 社会福祉協議会など
〇生活福祉資金の貸付
障害者世帯に対し日常生活を送る上で、また自立生活に資するために一時的に必要と見込まれる費用として下記の福祉費の貸付があります。
窓口は市区町村にある社会福祉協議会になります。
〇交通遺児等貸付
自動車事故が原因で亡くなったり、重度の後遺障害により働けなくなった家庭の子どもで、中学生以下を対象に無利子で資金をお貸しする制度です。
窓口は独立行政法人 自動車事故対策機構になります。
◆扶養共済 申請先 市区町村の障害者扶養共済制度担当など
〇障害者扶養共済制度
障害のある方を扶養している保護者が、自らの生存中に毎月一定の掛金を納めることにより、保護者に万一(死亡・重度障害)のことがあったとき、障害のある方に終身一定額の年金を支給する任意加入の制度です。
掛金が小規模企業共済等控除に利用することができます。
保護者の年齢が40歳だと月額掛金14,300円
市区町村によって掛金が異なる場合があります。
◆医療 申請先 市区町村の福祉担当など
〇自立支援医療の給付
精神通院医療、更正医療(18歳以上)、育成医療(18歳未満)の3つの種類があります。医療は指定自立支援医療機関で行われるものに限ります。対象の医療費について、医療保険各法で負担される部分を除いた分を公費負担します。
自己負担は、原則として医療費の 1 割です。所得制限があり、世帯の所得に応じて、月額上限負担額が設定されています。
〇難病医療費助成制度
指定難病の患者の保険医療費(認定を受けた疾病(指定難病の場合は、当該疾病に付随して発症する傷病を含む。))の自己負担分(外来+入院)の一部を公費負担します。自己負担は、原則として医療費の 2 割です。世帯の所得に応じて、月額上限負担額が設定されています。対象疾病はこちら
〇障害者医療費給付(福祉医療支給制度)
重度の心身障害者が医療機関で保険診療を受けた場合、医療費の自己負担分について助成します。償還払。概ね2,3か月後に支給されます。
市区町村によって、要件、金額、名称が変わります。
〇ウイルス肝炎医療費給付
B型及びC型肝炎ウイルスに起因した慢性肝炎、肝硬変、ヘパトーム(肝がん)の患者さんの医療費)入院費、外来は抗ウイルス療法に限り対象)の自己負担分の一部を公費負担します。
都道府県によって、要件、金額、名称が変わります。
〇小児慢性特定疾病医療費給付
18 歳未満(20 歳まで更新可能)の児童の指定されている特定疾病の保険医療費の自己負担分の一部を公費負担します。
世帯の所得に応じて、月額上限負担額が設定されています。対象疾病はこちら
◆補装具・日常生活用具 申請先 市区町村の福祉など
〇補装具の交付・修理
補装具は、身体障害児者及び難病患者等の失われた身体部位や損なわれた身体機能を代償、補完する用具で、身体に装着(装用)して用います。
身体障害児者へ、身体障害者手帳に認定された障害の内容や程度によって、購入や修理の費用を支給します。自己負担は原則1割(支給額に上限あり)です。
購入前に申請が必要です。
※治療段階で処方される「治療用装具」は、医療保険で対応します。
〇日常生活用具の給付
在宅の重度身体障害児者、重度の知的障害児者及び難病患者等に対し、日常生活の便宜を図るため、次の用具の購入費が給付されます。
購入前に申請が必要です。
自己負担は原則1割です。(住民税非課税の世帯は自己負担なし、上限単価を超過した部分は自己負担です。)
◆税金 申請先 年末調整や確定申告
〇所得税・住民税の障害者控除
納税者自身、同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを障害者控除といいます。なお、障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます。
区分 | 所得税 | 住民税 |
障害者の方 | 27万円 | 26万円 |
特別障害者の方 | 40万円 | 30万円 |
同居特別障害 | 75万円 | 53万円 |
〇相続税の障害控除
相続税の申告の際に相続人が85歳未満の障害者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引きます。
過去の相続の際に障害者控除の適用を受けた人で控除額に制限がある場合あります。
障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れない場合は、その引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。
区分 | 程度 | 税額控除 |
障害者 | 身体障害 3~6級 知的障害 B1,B2 精神障害 2,3級等 | 障害者が満85歳になるまでの年数×10万円 |
特別障害者 | 身体障害 1,2級 知的障害 A1,A2 精神障害 1級等 | 障害者が満85歳になるまでの年数×20万円 |
〇特定障害者に対する贈与税の非課税
特定障害者の方の生活費などに充てるために、一定の信託契約に基づいて特定障害者の方を受益者とする財産の信託があったときは、その信託受益権の価額のうち、特別障害者である特定障害者の方については6,000万円まで、特別障害者以外の特定障害者の方については3,000万円まで贈与税がかかりません。
※特定障害者とは、次に掲げる方をいいます。1 特別障害者2 特別障害者以外の障害者のうち精神に障害がある方
非課税額 | 身体障がい | 知的障がい | 精神障害 |
6,000万円 | 1.2級〇 | 精神障害1級 〇 | 精神障害1級 〇 |
3,000万円 | 身体がい対象外 | 精神障害2.3級 〇 | 精神障害2.3級 〇 |
〇心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の非課税
地方公共団体が条例によって実施する心身障害者扶養共済制度に基づいて支給される給付金(脱退一時金を除きます。)については、所得税はかかりません。
〇退職所得控除の加算
障害者になったことが直接の原因で退職した場合の退職所得控除額は20年以上勤務で800万円 + 70万円 × (勤続年数- 20年)より計算した額に、100万円を加えた金額となります。
〇利子等の非課税
預け入れた預貯金等及び購入した公債について、各制度につき元本 350 万円を限度として利子等が非課税になります。
窓口は金融機関になります。
まずは制度を知ることが大事
障がいがあっても、経済的な負担を減らすことができる制度が数多くあります。PrivateFpに相談いただいた方でも、制度を知らずに10年以上過ぎてしまった方もいらっしゃいました。障害年金請求は請求分の5年前以降は時効で消滅になってしまうので早めの請求が大事です。
ご自身、ご家族だけで悩まず、病院でのソーシャルワーカー、行政の相談員に相談を行い、適切な社会保障を受ける必要があります。
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