【1級FP監修】令和6年度 年金額改定、上がったが実質目減り

令和6年度の年金額改定のお知らせが1月に発表されました。今回の令和6年度4月分と5月分(6月15日支払い)の国民年金はいくらになるでしょうか。

令和4年度月額64,816円、令和5年度月額66,250円です。令和6年度月額68,000円なりました。増加率+2.7%増額です。支給額は月額+1,750円になります。しかし、完全に物価連動にならずマクロ経済スライドよって大きく調整がされています。

【結論】公的年金は完全な物価連動ではない、自助努力が必要な場合も

マクロ経済スライドとは

現在の年金制度は、高齢化により公的年金支給総額が増える一方、少子化により保険料を負担する世代が減少する状況で、単に物価・賃金に連動の年金増減システムだと、現役世代の負担を増やす要因になります。

そのために、「マクロ経済スライド」とは、本来の物価、賃金水準から現役の被保険者の変動率×平均余命の伸び率で算出した「スライド調整率」をマイナスすることで年金の給付水準を緩やかに調整して、現在世代の負担を抑える仕組みになっています。

スライド調整率をマイナスできなかった場合(マクロ経済スライドを使うとマイナスになる場合や物価、賃金水準がそもそもマイナス)などの年金額に反映できなかった分は、翌年度に持ち越す「キャリーオーバー」として、マイナスできる仕組みになっています。

マクロ経済スライドのよる調整
令和6年度のマクロ経済スライド調整率
 スライド調整率-0.4%

今回の年金改定では新規裁定者(68歳到達年度前の受給権者)は名目賃金変動率の+3.1%、既裁定者(68歳到達年度以後の受給権者)は物価変動率の+3.2%を参考にして増額していますが、マクロ経済スライド調整率-0.4%減額されています。

在職老齢年金の支給調整額も改定

年金は働きながら受け取ることが可能です。その年金を在職老齢年といいます。在職老齢年金は賃金(賞与込み月収)と公的年金の合計額が、支給停止調整額を上回る場合には、年金は一部または全額支給停止する仕組みです。
支給停止調整額は名目賃金の変動に応じて改定され、令和6年度の支給停止調整額は48万円から50万円に改定となりました。

現在の年金制度はインフレに弱い

老後の最低限の生活を確保する為に、年金額は物価上昇や賃金上昇に完全に連動することが望ましいと考えます。なぜなら、年齢を重ねるにつれて収入を作り出す方法や増やす方法、お金を借りる方法が少なります。
就労や投資の機会が減り、お金を金融機関から借りる際、一定の資産がないと難しくなります。

マクロ経済スライドは年金制度の持続可能性を高め、将来世代の給付水準を確保するための制度ですが、実際の物価上昇・賃金上昇との連動性が弱くなり、実質は目減りしているということになります。

安心して将来暮らす為に年金は大事な収入の源、その年金が物価上昇や賃金上昇に弱いとしたら非常に心配になります。

今からできること、将来への資産形成

将来、年金収入だけで生活していくことが厳しい時代になります。なので今一度考えてみましょう。

「自分が、これから年金収入だけで生活する時期まであと何年ありますか、その時期までお給料をあと何回受け取れますか。」

現在45歳で70歳まで働くと仮定したら、残り25年間、お給料を受取れる回数は25年×12回=300回となります。
「その年数と回数が最大の武器になります。」この武器を使って資産形成していきましょう。

今回は二通りの方法で確認しましょう。

〇パターンA、お給料時に10,000円を25年間、預金・貯金に積み立て(リターン0.01%)すると積立合計額3,003,741円になります。この方法も堅実で良い方法ですが、年金と一緒でインフレに弱いと考えます。

〇パターンB お給料時に10,000円を25年間、投資信託に積み立て投資(リターン6%)すると積立合計額6,929,940円になります。福利効果によって大きく積立額を増やすことが可能になります。

どちらが賢い資産形成の方法でしょうか。自分自身の残された年数と受け取れるお給料の回数をしっかり考えて資産形成に取り組みましょう。投資など資産運用は自己責任でリスクがあることをしっかり理解しなければなりませんが、税金のメリットがあるiDeCoNISAなど資産形成を応援してくれる制度があります。

PrivateFpは数多くのファイナンシャル・プランニング、金融資産運用設計の経験から、自分自身に合った資産運用を支援します。

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公式HP 厚生労働省 令和6年度の年金額改定について

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